入間川(いるまがわ)
長らく在京していた大名は召使い(太郎冠者)を伴って故郷へ帰る途中、大きな川に行き当ります。通りかかった男(入間の何某)に川の名と渡り瀬を問うと、男は「この川は入間川で、川底は深いから浅瀬はない。」と答えます。すると大名はこの地方に流行る《入間様》で答えたものと思い、川を渡り始めて深みに嵌りずぶ濡れとなってしまいます・・・。
『入間様(いるまよう)』とは、中世の入間地方で用いられていると都に伝わった《逆さ言葉》のお遊びで、物事をすべて反対に云い表わします。この特殊な言葉遣いを作品の中心に据えて、台詞の面白さと混乱を狙った演目です。
入間川は埼玉県秩父地方から荒川に注がれる一級河川で、荒川水系の支流としては約63キロと最長です。