宝の笠(たからのかさ)

登場人物
主人・召使い・素っ破
上演時間
約30分

目の前に現奇特のある(=不思議な現象の現れる)お宝比べが流行し、主人は召使い(太郎冠者)に、都でそのようなお宝を求めてくるよう命じます。召使いが方々を尋ね歩いていると男が近づき、その昔鎮正八郎為朝が鬼ケ島に於いて、鬼と勝負して勝ち取った戦利品であると、不思議な笠を受け取りますが・・・。

召使いが都の素っ破(詐欺師)に偽物を売りつけられるという展開は、「末廣かり」などにも似ており、類曲に「宝の槌」もあります。

狂言成立初期の≪寛正五年(1464年)糺河原勧進猿楽≫において「隠れ笠」の演目で上演記録があり、おそらく現行の本曲「宝の笠」であろうと推測できます。大蔵流では現在も「隠笠」(かくれがさ)の名で上演されています。