子盗人(こぬすびと)
「例の手慰み(=博奕)」によって散財した男は、裕福な旦那(有徳人)の家へ
夜な夜な忍び込んで、金品を算段しようと企てます。苦労しながらも座敷へ
侵入して茶道具や衣類などを物色していると、灯火の中に小袖に包まれた赤子を見つけて・・・。
怖者が健気な赤子の情に心動かされ、盗みも忘れてあの手この手とあやす様が見どころで、情景が目に浮かび上がります。
また博奕に苦労した果てに何事か悪事を計画する演目は、狂言にも幾らか登場し、「仁王」や「金津地蔵」などにも見られ、懸命に生き抜く当時の庶民生活の一端が伺えます。