棒 縛(ぼうしばり)

登場人物
召使い二人・主人
上演時間
約30分

酒好きな太郎冠者・次郎冠者、二人の召使いは主人が留守になるたびに酒蔵へ忍び込んでは盗み酒をする始末。この事を知りつつ今日も外出する予定の主人は、一計を案じてまず次郎冠者を呼び出し、最近棒の手(=護身術)の稽古をしている太郎冠者にその型をさせ、隙を見て縄で括りつけようと提案します・・・。

のちに歌舞伎や舞踊にも取り入れられた狂言の代表的な演目です。能「松風」の詞章をパロディして両冠者が主人を揄う謡を唄ったり、また縛られた窮屈な状態にて身振り手振りを多用する本曲は、言葉の壁を越えて外国人向けに上演する事も多く、クリントン米元大統領来日の際も、東京赤坂の迎賓館における政府レセプションで、野村万作・野村又三郎(先代)・四世井上菊次郎で披露した事があります。

和泉流では、両冠者が途中で縄を解く演出《山脇派・野村派》と、最後まで縛られたままの演出《三宅派》があります。演出の違いを見比べてみるのも面白いかと存じます。