狐 塚(きつねづか)

登場人物
主人・太郎冠者・次郎冠者
上演時間
約30分

秋も深まり狐塚と称する田にも稲がたわわに実っています。群鳥に荒らされぬよう、主人は召使(太郎冠者)に田の見張り番を命じます。太郎冠者は早速鳴子を用いて群鳥を追い払っているところへ・・・。

狐はその霊性から人を化かすという俗信があり、能「殺生石」や狂言「釣狐」などにも、人間から見た狐の本性を捉えた演目が存在します。夕暮れ時の広大な田畑に一人で居るのは寂しいもの。そんな人間の心理が思いも寄らぬ騒動へと展開してゆきます。

また鳴子で鳥獣を追う仕草や稲田の情景など連想させる演技が要求され、日本の原風景に懐かしさを感じずにはいられない、秋を代表する演目です。