土蜘蛛(つちぐも)
独武者ノ下人は、前夜御前で起こった騒動をあらためて語り、自らも蜘蛛退治に同行するよう命じられますが、内心は化物の恐怖に怯えていて・・・。
前段、頼光と化生ノ者の顛末を立語りで振り返る間狂言は、近年一人で語る《一人間》が主流ですが、名古屋和泉流の狂言共同社(山脇派)と野村又三郎家(野村派)には、旧来より劇中劇として《二人間》《三人間》の演出で上演されています。
とくに子方が演じる事も多く、威勢よく語る勇敢さと反面恐怖心が増幅する様は、ストーリーを進行する中で、一服の清涼剤の如く効果を発揮します。
能流儀によっては「土蜘」と表記します。