井戸茶碗(いどぢゃわん)

登場人物
主人・召使い・主人の妻・道具屋
上演時間
約30分

元FM愛知会長(豊田市名誉市民)  故本多静雄氏の作。

ある日主人のもとを道具屋が訪ね、口上手にごまかして高価な茶碗を売りつけようとしています。そこへ帰宅した妻は、縁日で買ってきた安価な茶碗と瓜二つだと云い、目利きならばどちらが持参した茶碗か当ててみよと、二つの茶碗を並べ替えると・・・。

《新作は古典に及ばず》と云われる中で、本作は秀逸の出来と云えます。狂言独特の笑いのセンスをうまく引き出し、三者の駆引きが見どころとなっています。

これまで豊田市能楽堂企画公演や本多邸での観櫻会(花見園遊会)、豊田市農村舞台アートプロジェクト公演などでの上演実績があります。

作者は豊田市をはじめ東濃地区に伝わる説話や瀬戸・品野焼といった近隣の陶芸に関するストーリーを、数々狂言仕立てに創造しました。ほかに、「狐山伏」「三国山」「狛犬盗人」などが試演されています。

氏の陶芸コレクションは、愛知県陶磁資料館や豊田市民藝館に寄贈され展示されています。

また偶然にも古典落語に「井戸の茶碗」という演題がありますが、本作品とは出典・ストーリー展開が全く異なっています。