千 鳥(ちどり)

登場人物
主人・召使い・酒屋亭主
上演時間
約35分

主人から掛け買い(ツケ)で酒を買って来いと命じられた召使いは渋々酒屋へ出向きますが、これまでの支払いも滞っているため酒屋もなかなか酒を渡しません。そこで召使いは津島祭の話を取り上げて、子ども達が千鳥を捕る様子や流鏑馬で馬を操る仕草などを調子よく囃しながら酒屋の亭主を油断させて、その隙に酒樽を持ち去ろうと試みますが・・・。

あの手この手で何とか酒を手中に収めようと囃子謡を用いて駆け引きに奮闘する召使いの、軽妙かつ緩急を付けた演技が見どころです。
津島祭(愛知県津島市/天王祭とも)の基点となる津島神社は、かつては伊勢詣と一対で参拝する事が常とされており、東海道から陸路(佐屋街道)または海路(渡し舟)を経て通じる往来の賑わいを見せておりました。祭事として長い歴史を持ち、稚児神楽や宵祭・朝祭など当時から知名度の高い祭礼の一つであった事が本曲からも伺えます。