萩大名(はぎだいみょう)
訴訟事のため永らく都に滞在していた田舎大名は、無事に勝訴し近々帰郷することとなります。都の名残に遊山(散策)に出掛けようと太郎冠者(召使い)に相談すると、太郎冠者は宮城野の萩が盛りの庭見物を提案しますが、その庭の持ち主は大の当座好き(=即興の和歌を詠むこと)で、見物客に所望すると云います。歌を詠む嗜みのない大名に対し、太郎冠者は一計を案じて和歌のカンニング法を伝授するのですが・・・。
無教養な大名を風刺しつつも無邪気で稚気あふれる姿を描き、従順な召使いとのやりとりが滑稽に展開される作品です。
萩は万葉集や源氏物語など古歌や文学作品にも度々登用される秋をイメージさせる代表的な花の一つですが、「宮城野萩」は夏季から紅紫色の花をつけ、その優美な姿からもっとも人気が高いといわれています。宮城野萩は有名にして《萩の月》という仙台銘菓にも繋がります。