通 円(つうえん)

登場人物
通圓の亡霊・旅僧・在所の男
上演時間
約20分

旅の僧が、京の宇治橋のたもとを通り掛かると、無人の茶屋に茶湯が手向けられてあるのを見て不審に思い、在所の者に理由を尋ねます。此処で大量の茶を点てて狂い死にした通圓という茶坊主の事を聞き知ると、彼の亡霊が現れ、旅僧に成仏弔いを頼んで、点て狂いした最期の有様を語りつつ舞って見せます・・・。

通圓とは、宇治橋端で通行人に茶を提供していた茶人で、平安末期より創業の茶舗《通圓茶屋》が今も継承されています。初代通圓が仕えた源頼政との関係が、能「頼政」に対してこれをパロディー化した狂言「通圓」として、比較上演される事があります。
狂言でありながら、旅僧をワキに在所の者をアイに見立てた、能掛りの展開(演出)が特徴の演目で、ほかに傘張りの「祐善」や尺八吹きの「楽阿弥」、また「蛸」「蝉」や「野老(ところ)=ヤマノイモ科のつる性多年草」など動植物を主人公(シテ)に据えた舞狂言も少なからず存在します。