舎 弟(しゃてい)

登場人物
弟・兄・教え手
上演時間
20分

いつも兄から『舎弟、舎弟』と呼ばれている弟は、その言葉の意味を知りません。そこで近所の物知りな知人にこの事を尋ねると、知人は悪戯心から「舎弟とは盗人の事なのだ」と嘘を吹き込まれます。
盗人扱いされていたと真に受けた弟は、憤慨して兄に詰め寄り兄弟喧嘩に・・・。

近年では《部下》《手下》《子分》といった意味合いを指す印象があまりにも強く、人前では交わされない言葉ではありますが、本来は単に《実弟》の事。基は漢語であって、馴染みのない一般庶民には当時縁遠い言葉だったのかもしれません。
狂言には、知人が嘘を教える事によって混乱や破綻を招く演目が幾つか存在し、些細な妄言が騒動に発展する可笑しみを持ち合わせています。これを無知ゆえの失敗談との見方も、また偽りを教えてはならぬとの教訓にも解釈できる作品となっています。