三国山(みくにやま)
三河・尾張・美濃、三国の国境に聳える三国山神社は、陶物師〔陶芸師〕が崇拝する守護神ともなっています。そこへ参拝に向かう尾張・美濃の陶物師が、道々出逢い同行の運びとなります。二人は土の質や茶碗の焼き方・釉(うわぐすり)の扱いなど、互いに自慢を繰り広げ口論に発展。それを見咎めた明神の禰宜が間を取り持ち、明神さまのお裁きを提案します・・・。
FM愛知元会長で豊田市名誉市民でもある故本多静雄氏の作品で、初演時にはジャズやマンボ、或いはフォークダンスなども取り入れた斬新な演出を用いて、名古屋デザイン博(1989年)などで被演され、作者(本多翁)自身も明神として出演するなど数度の上演を重ねました。
その後 二世井上松次郎(靖浩)が、後世に《狂言》として伝承できるよう本多家の了承を得て改作演出し、本多翁ゆかりの豊田市民芸の森開館一周年記念公演(2017年)にて披露しました。
三河・尾張・美濃 三国の名を上手く取り込んだ、明神さまの名回答が見もので誰もが納得のご当地狂言です。