宗 論(しゅうろん)

登場人物
浄土僧・法華僧・宿屋
上演時間
約50分

身延帰りの法華僧が街道で同じ僧態の男に声をかけ、道連れとなりました。ところが宗旨を聞けば犬猿の仲の善光寺帰りの浄土僧です。互いに相手に宗旨変えを迫り、同宿した宿では法華僧の説く「五十転々随喜の功徳(ゴジユウテンデンズイキノクドク)」、浄土僧の説く「一念御陀仏即滅無量財(イチネンミダブツソクメツムリヨウザイ)」、珍妙な両者の宗旨論争の挙げ句、ともに呆れて寝てしまいます。翌朝目覚めると今度は早速読経争い、両者の争いは踊り題目、踊り念仏へとエスカレートして……。


宗論とは、宗派の優劣を争う論争で室町時代には特に法華宗と浄土宗の間で盛んに行われました。軽妙洒脱な浄土僧と、頑固で一途な法華僧を対比的に描き、宗旨争いの愚かしさを風刺したものです。

黒谷は京都東山、法然ゆかりの地である金戒光明寺です。