三人夫(さんにんぷ)
年貢を納めに都へと向かう淡路・尾張・美濃の百姓が、道中偶々出逢って同行の運びとなります。一年を締めくくる年貢納めを無事に務めた三人は、奏者からそれぞれの国の名を織り込んだ和歌の共作を所望されて・・・。
天下泰平・五穀豊穣など安寧と繁栄を描く目出度い祝言性を持ちながら、狂言らしい可笑しみも散りばめられています。また『年貢納め』と聞くと、資産を取り上げられるが如くマイナスな思考となりがちですが、今年も万事無事に穀物を収穫する事が出来た故に納める物も相整った、というプラスの考え方と一年を凌いだ安堵感が伝わってきます。
相舞《三段之舞》で舞い納めるという演出は、ほかに狂言「三人長者」などにも見られます。