業平餅(なりひらもち)
平安時代初期の貴人で歌人の在原業平は、玉津島の明神へ従者をしたがえて参詣に赴く途中、餅屋に立ち寄ります。普段からお金など持ち歩かない貴族の業平。餅を所望したところ、代金を要求されて困ってしまいます。この客が業平であると知った餅屋の亭主は、餅を振舞う代わりに自分の娘を京へ宮仕えさせてくれないかと頼みますが・・・。
狂言に於いて実在とされる人物が登場する事は稀ですが、歌人であった業平は美男の色好みという伝説で名高い貴公子。本曲に登場する業平は、そのイメージに対するパロディとして描かれています。登場人物も多くにぎやかで楽しい作品です。
当方山脇派では、業平が餅屋の娘の素顔と対面を果たす前に、娘を交えて一行らと目出度い門出の酒盛りに発展する演出があります。