止動方角(しどうほうがく)

登場人物
主人・召使い・伯父・馬
上演時間
約35分

茶競べに出掛ける予定の主人は、太郎冠者(召使)に伯父のところへ行って、茶道具をはじめ太刀や馬など、あれこれと借りて来るよう命じます。
已む無く訪ねた太郎冠者に、伯父は所望の数々を貸し与えますが、中でも所有の馬には悪い癖があって・・・。

茶競べ(茶比べ・茶較べ)とは、茶の風味や品質・産地・銘柄などを飲み分けて当てる茶会の一種で、鎌倉・室町時代に流行した「闘茶」とも言い、旦那衆の遊びの一つでした。本曲では、道具一式からして借用せねば成り立たない見栄っ張りで強情な主人に対し、日頃から何かと振り回される哀れな太郎冠者の葛藤と、痛快な抵抗が見どころとなっています。
また曲名「止動方角」とは、馬を落ち着かせるために唱える呪文「寂連童子、六萬菩薩。鎮まり給へ、止動方角。」に因るものです。