鎌 腹(かまばら)
山仕事を生業にする男(太郎)は、日ごろから働きが悪く怠け癖が抜けません。今日も妻から「早く山へ仕事に行け」と、棒や鎌を振り上げられては追い立てられる始末。騒ぎを聞きつけた仲裁人が見つけて止めに入りますが双方の言い分は平行線。男は仲裁人の手前、思わず「この鎌で切腹してやるっ。」と啖呵を切ってしまい・・・。
今さら後には引けなくなった男の意地と死への恐怖、心理描写がよく織り込まれていて、あの手この手で切腹を試みる仕草や駆引きが、切なくも笑いを誘います。
けたたましく唐突に始まる冒頭は、他の演目とは異なっていて序章部から目が離せません。