佐渡狐(さどぎつね)
都へ年貢を納めに出掛けた佐渡と越後の百姓が、道中偶々出合い同行の運びとなります。国向かいに位置する両人は、道中佐渡に狐が存在するかしないかで言い争いになり、自身の小刀を賭けて奏者に判定してもらう事となります。事実、佐渡には狐がいない事を承知の佐渡ノ百姓が取った行動とは・・・。
一年を締めくくる年貢納めという目出度い祝言性も持ちながら、贈収賄の人間模様、所謂《袖の下》も見え隠れする三者の駆引きが笑いを誘います。
さて、では根本なぜ『佐渡に狐はいないのか⁉』。
その原点は《団三郎狸(貉)》の伝説に作品のヒントがあると云われています。団三郎狸(貉)とは、ジブリ作品「平成たぬき合戦 ぽんぽこ」にも登場するキャラクターですが、狐と狸の化かし合い、団三郎狸が佐渡から狐を追い払ったとも・・・。
公演形態によって、奏者をシテ(主役扱い)に上演する場合と、佐渡の百姓をシテにする場合があります。