釣 針(つりばり)

登場人物
主人・召使い・妻・腰元衆・女
上演時間
約25分

妻を持たない主人と召使いの太郎冠者。両者は妻乞いのため西宮の夷三郎を参詣します。社壇で通夜籠りをしていると、夢の告げに釣竿を授けるとの事。それを用いて妻を釣り取れと承り、早速実践する事に・・・。

女性を釣るという奇抜な発想で、現代では偏見差別とも受け取られかねませんが、そこが古典ならではの長であり、何より夷(恵比須)様は縁起物。歌舞伎舞踊にも「釣女」として伝承されています。
夷三郎とは釣竿を持ち、脇に魚を抱えた御存じ七福神の神像で、兵庫西宮神社(通称:夷社)に奉られます。狂言に於いても「夷大黒」「夷毘沙門」に登場し、八百萬の御神体の中でも庶民の身近な神の一体として、親しみが籠められています。