苞山伏(つとやまぶし)
山仕事の疲れから休息を取る山人、また長旅の疲れから道中仮眠を取る山伏、両者は偶然にも近くで眠っています。そこへ通り掛かった男が、山人が持つ藁苞を見つけて盗み喰いします。目を覚ました山人は藁苞が無い事に気づいて男を問い質しますが、食い荒らされた藁苞は山伏の枕元に・・・。
『苞』とは藁に包んだ弁当の事。現代用語に於いて、惣菜や弁当などをテイクアウトやデリバリーする食事の形態、あるいはその食品を「中食(なかしょく)」と云うようですが、その昔一日二食の朝夕食が中心であった時代、この中間にあたる軽い食事を「中食(ちゅうじき)」と呼び、のちの昼食の慣習定着に繋がってゆきます。
食べ物の恨みは何とやら、狂言版《名探偵 山伏》の真犯人を炙り出す推理の策や如何に。