泣 尼(なきあま)
持仏堂を建立した片田舎の男(施主)は、堂供養の法談を執り行う住職を求めて都を訪ね歩きます。偶々見付けた寺で頼むと、応対した住職はお布施(謝礼)の多さに惹かれて快く法談を引き受けます。しかし、日ごろ説法下手と揶揄されている住職は一計を案じ、涙もろい尼を雇い同行させ、自身の説法を尼が有難がって泣く事で、施主や参集の衆の心に響かせようと企てます。さて肝心の法談が始まると、住職の策とは裏腹に・・・。
人間の「欲」を巧みに取り入れた作品で、悪気のない尼と気が気でない坊主との遣り取り(駆け引き)が、笑いを誘います。