大般若(だいはんにゃ)

登場人物
僧・神子・施主  〔笛・小鼓 会釈〕
上演時間
約25分

檀家(施主)から祈祷の依頼を受けた僧侶が大般若経を読誦し始めると、信心深い檀家は神子(巫女)も雇ったとみえて鈴を用いてお祓いを始めます。僧侶は鈴の音が邪魔をして満足な祈祷が出来ないと訴えますが、気にせずに読経せよと神子は聞く耳持たずお構いなし。僧侶は已む無く再び説法を始めるも、次第に神子の神楽舞に興味を惹かれて・・・。

神仏信仰の駆け引きが眼目となっており、互いの信心を譲らぬ中、男の弱さや思わぬ誘惑が引き金となって次第に迎合してゆく様が見どころです。

大般若とは大般若経の略称で正式名称は《大般若波羅蜜多経》。西遊記にも登場する玄奘三蔵法師が天竺(インド)から唐の国に永年をかけて持ち帰ったお経です。弟子らと四年の歳月をかけて翻訳し、奈良時代に六百巻にも及ぶ経典の集大成を完成させ、これを読む事によって世界平和や故人の安寧を祈念するとされています。