茸 (くさびら)

登場人物
山伏・家主・茸多数(不定)
上演時間
約25分

屋敷の庭に茸が生えて困っている男。抜いても抜いても、翌日にはまた生えてくる始末です。男は山伏のもとを訪ね、茸封じの祈祷を頼みます。引き受けた山伏は屋敷へ出向き、さっそく祈祷を始めるのですが・・・。

山伏の登場する狂言には大別して、『腰祈』のような祈りが効き過ぎる演目と、『梟山伏』や『禰宜山伏』など祈りの効果が表れない演目があります。かつてこの『茸』を鑑賞した外国人が、「まるでベトナム戦争を見るようだ。」と評した事があるそうです。いづれにしても、山伏の困惑・狼狽ぶりが笑いを誘い、人間と自然との共生もテーマに持つ、見どころの多い作品となっています。

茸を演じる役者の動き≪キノコ歩き≫は、静と動を巧みに表現して、見た目以上の体力と精神力を要します。また当方山脇派では、〔ラスボス〕の如く登場する鬼茸と山伏との対峙、即ち  ”最終決戦”  の演出があります。

大藏流では、『菌(くさびら)』と表記する流派もあります。