水 汲(みずくみ)

登場人物
新発意(坊主)・女
上演時間
約25分

茶の湯に使う水を汲んで来いと命じられた寺の新発意(しんぼち=新米修行僧)は、門前に住む顔馴染みの娘(いちゃ)に無理矢理水汲みを押し付けますが、それには下心があって・・・。

本曲は若い娘に想いを寄せる男の恋情が曲趣となっていますが、色恋沙汰とは無縁であるべき仏門に身を置く男に設定しているところが見所であり、小歌に交えて懸想する様が聴き所です。ここで謡われる小歌は、室町歌謡の名残を存分に感じさせるものであり、今日までこのような形で伝承されています。

大蔵流では「御茶の水」という題名で上演され、新発意に水汲みを命じる住持も登場する演出となっています。
また和泉流でも流派によって、二人の出会いの設定に異同がみられます。